カードローンを提供している業者には「おまとめローン」という商品を展開しているところが少なくありません。そして、おまとめローンを利用する人の求めるメリットが金利の削減です。利息が減ることで、毎月の返済が楽になることを期待しています。おまとめローンは複数の借入を一つにまとめるため、おまとめローン業者からの借入額が高額になることから、金利が現在のカードローンの金利より低くなることがあります。ただし、おまとめローンは特別に低い金利が設定されているわけではありません。

月々の返済を楽にするのであれば、金利よりも返済期間の延長の方が有効です。

おまとめローンの金利

現在の利息制限法では最高金利に対する規定があり、借入額が10万円未満は20%、10万円以上100万円未満は18%、100万円以上を15%とされています。実は、おまとめローンの金利はこの最高金利とほぼ変わりはありません。

おまとめローンにして金利が下がるのは単に借入額が増えたからに過ぎません。例えば、A社から50万円、B社から70万円、C社から30万円の借入がある場合、それぞれの借入は100万円未満であるため、金利は18%です。しかし、この借入をX社1社にまとめると150万円になるため、金利が15%に下がります。ただこれだけのことです。

確かに、金利が下がる分月々の返済額は少なくなりますが、金利が3%低くなったからといって月の返済額が大幅に削減されるわけではありません。例えば、金利が18%で金額が150万円の借金を3年(36回)で返済する場合、毎月の返済額は約5万4,000円です。仮に、金利が15%に下がったとしても毎月の返済額は約52,000円にしかならず、2,000円が少なくなるだけです。金利が3%下がれば支払う総利息額は8万円減りますが、月々の返済が楽になったとは言えません。

さらに、金利を5%下げてもらって13%になったとしても、毎月の返済額は5万500円であり、18%の時より3,500円しか減りません。

返済期間の延長

毎月の返済を楽にするには、返済期間を長くすることの方が大きな効果を得られます。例えば、借入額が150万円の場合、返済期間を3年ではなく5年(60回)にすると、金利が15%でも毎月の返済額は約3万5,600円になり、金利が13%になると3万4,100円まで減少します。2万円近く減るため、返済に対する負担が大幅に解消できます。

ただし、返済期間を延ばすとその分利息を支払う期間が長くなるため、返済総額はおまとめローンにする前よりも多くなります。例えば、150万円の借金を金利18%で3年返済の場合、返済総額は約195万2,000円ですが、金利が15%に下がっても返済期間が5年に延びると、返済総額は約214万1,000円にアップし、約19万円を多く返済することになります。金利が13%になったとしても、返済総額は204万7,000円であり、18%の時より増えてしまいます。

おまとめローンを利用する時は、利息を減らしたいのか、返済を楽にしたいのか、どちらかを選択するしかありません。2つを求めることは不可能です。

管理の簡素化

おまとめローンの本当のメリットは「管理の簡素化」にあります。カードローンの数が複数あると返済額や返済日が複数あり、それだけ管理に神経を使わなければなりません。また、返済を忘れたり、間違えたりする懸念もあります。それが、おまとめローンを利用することで1つに集約されれば、1つの返済にだけ気を使えば済みます。

管理するローンが一つになれば返済の流れがすぐに把握できるため、収支における返済計画も立てやすくなります。それが、おまとめローンの最大の効果です。ちなみに、返済をコンビニATMから行っている場合は、返済が1つになることでATMの利用手数料の削減もできます。

おまとめローンは総量規制の例外

おまとめローンの特徴は総量規制の例外扱いになっていることです。通常、消費者金融には貸金業法による総量規制が導入されているため、年収の3分の1を超える額の借入はできません。ただし、総量規制には例外規定があり、「利用者の一方的有利となる条件」による借入は総量規制の枠を超える借入が可能になっています。従って、年収制限を気にする必要がありません。

おまとめローンは返済専用

おまとめローンはカードローンではなく、借り換えのための「目的別ローン」です。従って、カードローンのように何回も借入を繰り返すということはできず、一度契約をしたら借入金を完済するまで新たな借入はできません。業者のページにも『ご返済のみの商品です』という記載があります。仮に、完済していない内に他の業者からの借入が判明すると、おまとめローン業者から借入残金の一括返済を請求されます。 

まとめ

おまとめローンは多重債務者が借入残高の管理を簡素化できる面で非常に効果の高いローンです。また、返済を延長してもらうことで、確実な返済を可能にし、また生活に負担の無い返済ができます。ただし、返済額を大幅に減らすものではありません。また、おまとめローンにした場合は通常のカードローンが利用できないということを覚悟する必要があります。